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宇宙は「法がない新しい分野」なのか

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はじめに

 私の経験上、初めて会った人に、「宇宙法を勉強してます」と言った時の反応は大別して3つあります。1つは、相手が宇宙法を知っておりスムーズに話が続く場合。ただ、宇宙法を知っている人の絶対数が少ないのでこういう反応はほとんどありません。

 もう1つは、「そもそも宇宙に法があるんだ」と驚かれるパターン。ほとんどの人は宇宙法という単語自体馴染みがないでしょうから、こちらとしても予想通りの反応です。

 最後の1つは、「宇宙は法がない新しい分野だから、今宇宙法を勉強するのは良いことだよね」と言われるパターン。このように反応する人も、それなりに一定数います。この記事を読んでくださっている読者の方にも、こう考えていらっしゃる方がいるかもしれません。

 ですが、「宇宙は法がない新しい分野」という認識は誤りです。本記事では、そんな宇宙法について外観します。

宇宙法について

 宇宙法は、国際法(条約など)の一分野である国際宇宙法と、各国の国内法からなる国内宇宙法から構成されます。

国際宇宙法

 国際宇宙法について言えば、この分野に関する代表的な条約である宇宙条約は1967年に国連総会で採択されました。*1今から50年以上も前に条約が作られた訳です。また、その後も1960年から1970年代にかけて、宇宙条約を含む計5つの条約が国連で作られました。一般の人々がパソコンやインターネット、携帯電話を使い始めるずっと前から、宇宙に関する条約は存在していた訳ですね。

 このように、宇宙に関する条約が古くから存在する以上、「宇宙は法がない新しい分野」という認識は誤りです。

国内宇宙法

 次に、国内宇宙法について言うと、日本の国内法に限っても「宇宙基本法」、「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」(通称「宇宙活動法」)、「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律」(通称:衛星リモセン法)などの法律が存在します。そして、「宇宙基本法」が成立したのは、2008年のことになります。

 「新しい」「古い」と言うのは相対的な概念ですが、10年以上も前に作られた法律が存在する以上、「宇宙は法がない新しい分野」と言い切るのは難しいのではないでしょうか。

結論

 このように、国際宇宙法・国内宇宙法共に宇宙に関する法は存在します。また、少なくとも宇宙に関する代表的な条約である宇宙条約が1967年に成立している以上、宇宙法が「新しい分野」と言うことはできません。

 以上から、「宇宙は法がない新しい分野」という認識は誤りと言うことが分かりますね。

※当ブログには、軽く宇宙法について説明している記事があるので、よければこちらもどうぞ。