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映画「名探偵ピカチュウ」感想:普通に良い作品。

作品情報

meitantei-pikachu.jp

監督: ロブ・レターマン

なお、本作は同名のゲームが原作です。*1

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、ネタ作品のつもりで見たところ、存外普通に良い作品で自分の選別眼のなさを反省すると共に、見て良かったと思いました。グラフィックだけでなく、ストーリーや役者陣の演技も良かったですね。また、西島秀俊さんをはじめとする声優陣の演技もとても良かったです。

 最初にトレーラーを見た段階では、ピカチュウがおっさんの声で喋るという一発ネタかと思っていました。可愛いキャラクターがおっさんの声で話すのは、tedの二番煎じとも感じられましたが、まあ話のタネくらいにはなるだろうと思って、この映画を見ることにしました。

 序盤から終盤にかけてのストーリー展開は、ピカチュウがおっさんの声でおっさんのような会話すること以外は普通に王道だなと思いました。鳥ポケモンが空を舞っていたり、ヒトカゲとかのポケモンが普通の街並みを歩いているなど、実写の風景と調和しているポケモンのCGは見ていて非常に魅力的だったので、そんなストーリーでも楽しみながら見ることができましたが。また、役者も自然にポケモンを撫でていたり抱えたりと、まさにその場にポケモンがいるかのような演技をしていて素敵でした。

 ストーリーの終盤に差し掛かったところでも、想定の範囲を越えるようなところはなく、物足りない部分がありました。ラスボスである市長の倒し方は、頭の機械を外すだけという非常に単純な方法だったので、拍子抜けしましたし。そんなに簡単にやられる状況なら、なんでティムを殺さずに同じ部屋に放置していたんだよと、見ながら一人で突っ込んでいました。

 ただ、エンディングでピカチュウの中身が本当におっさん(父親)だったと判明したシーンで、ストーリーに対する評価がガラリと変わりました。話題作りのためだけに、ピカチュウの声をおっさんのものにしたのかと勝手に思っていましたが、実際に中身もおっさんだったと知った時には、してやられたなと感じました。ピカチュウが記憶喪失だったり、父親の家を自分の家呼ばわりしていたり、ピカチュウの言葉がティムにだけ分かったり、ポケモンと人間が合成させられていたりと、伏線はきちんと張られていただけに、このストーリー展開には感服しましたね。

 そう思って映画を振り返ってみると、単なるポケモンとの冒険だけでなく、父と子の関係性という、より一般的なテーマをも含んでいたように思います。父を失って初めて感じる後悔。記憶喪失でも本能で子を守ろうとする父の愛情。そして、父と子の和解。非常に綺麗なお話だったなと思いました。

 映画を見た後、清々しくなるような作品でした。このような映画に、また出会いたいですね。