作品情報
監督:バオ・ベイアル
評価
☆☆☆(最高評価は☆5つ)
※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。
ネタバレ感想
本作は、面白い作品ではあったものの、割と出オチの作品だった。
冒頭の笑いの瞬間風速は、なかなかのものだった。単に主人公の二人が走ったり窓に挟まったりしているだけでものすごく可笑しかった。特に、二人の顔芸が良い。何気ない1シーンであっても、二人のとぼけている顔であったり、変な顔を見ているだけで、自然と笑みがこぼれてくる。たまたま本作を観ながら食べていたピザが、とてもとてもおいしく感じられた。
しかし、そんな本作の可笑しみも、物語が進展していくにしたがって段々と飽きてくる。それは、食事シーンや何かに引っかかって出れなくなったシーンなど、似た展開が繰り返されたせいである。どこかのお笑いで見たようなデブネタと重なりあってきて、どこか既視感を感じたせいでもある。本作の大きな魅力の一つである、主人公二人の見た目に慣れてきたせいでもある。予想を裏切るということが重要なお笑いにおいて、本作における慣れと飽きは、大きな問題であったと感じる。
この点は、Mr.ビーンなど、往年の名作と異なった点であったように思う。Mr.ビーンは、場面場面によって、時に予想もつかない方法でばかなことをやり、それが非常に面白い。これに対し、本作には、予想外のところから来る面白さがあまりなかった。デブネタ以外のコメディ要素は、あるにはあったものの、そこまでぱっとしなかった。
また、ストーリーに目を向けると割と平凡であるし(コメディ映画である以上、私がそこまで重視した部分ではないが。)、突然の仲違いからの仲直りといった展開も、どこかで見たことのあるようなものだった。正直、本作は3分の2くらいに減らして丁度良いような密度であったと思う。例えば、J役の初恋の話も、相手が美人ではなかったというオチであった気がするが、物語の最後まで引っ張った割に特に笑えないものであったし、なくても何ら問題のない部分であったように思う。
しかしながら、頭を空っぽにしてコーラでも飲みながら楽しめるという意味では、本作はきちんとした魅力を持っているし、続編の制作に耐えうるような作品であると思う。最後のシーンは、本作の悪役が牢獄から脱出し、次回作で再び主人公と敵対することを示唆しているように思われたが、いつか本作の二人が一層パワーアップして帰ってくることを楽しみにしている。