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映画「猿の惑星」感想:ネタバレと作品の面白さの関係について

作品情報

猿の惑星 (字幕版)

猿の惑星 (字幕版)

  • 発売日: 2014/09/01
  • メディア: Prime Video

監督:フランクリン・J・シャフナー

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 SF作品の中でも名作と名高い猿の惑星の第1作。それを僕が今まで見てこなかった理由は非常に単純である。要するに、ネタバレを喰らってしまったのである。「猿達の住む惑星は、実は地球でした。」明らかに物語の根幹の謎への回答であり、それを聞いてしまったら面白くないだろうと思い、それから十何年の間猿の惑星を見ることはなかった。「殺人事件の犯人は猿でした」などと言われた後に推理小説を読むようなものだと思ったからである。

 そんな僕が、猿の惑星を見ようと思ったのは、この間知ったある研究がきっかけである。すなわち、ネタバレは短編小説の面白さを低下させるのではなく、むしろ向上させると結論づけた実験である*1。これはあくまで短編小説についての研究であるとか、そもそもサンプル数が少ないとかの突っ込みは入れられそうではあるものの、小説よりもより刺激が豊富な映画というメディアであれば、よりネタバレがあっても楽しみやすいと思い、本作を見てみることにした。

 結論から言えば、本作はネタバレを知っていても面白い作品だった。物語の冒頭、金髪美女が出て来てあーこれがヒロインかと思っていたら一言も話す前に退場したり、味方がどんどんやられて行ったりと、ストーリーそのものが起伏に富んでいて面白かった。また、「英語がローマ字がそのまま通じるなんて・・・ここが地球っていうのがもろ分かりではないか」などと突っ込みを入れながら見るのも楽しかった。そして、ラストシーンも、くるぞくるぞ、どうやって物語の根本が明かされるんだ?と思っていたら、出てきたのは自由の女神。頭の中で想定していたどのシナリオをも上回るラストシーンに、心が震えた。

 今回猿の惑星を見て気づいたことは、意図せずネタバレを受けたとしても、作品自体に突っ込みを入れながら見たり、先の展開を具体的に予想して裏切られたりと、楽しみ方は色々とあるということだ。特に、名作と呼ばれる作品は懐が広く、楽しみ方の幅は色々あるように思った(そもそも、何度も繰り返し見る人がいる訳であるし。)。また、伏線に悩まずに作品を見られるという意味で、脳に優しく気軽に見ることができるような気がした。時に、ネタバレを含む公式トレーラーが作られるのも、ネタバレがあっても映画の面白さはそこまで損なわれないということを、製作者が経験的に知っているからかもしれない。

 僕個人としてはネタバレを積極的に見ようとは思わないものの、意図せずにネタバレを受けてしまった作品についても、これから積極的に見ていこうと決意した。皆さんも、そのような作品があったら一度見てみると面白いかもしれない。