作品紹介
葛飾北斎の北斎漫画は、1814年に刊行され当時から人気を博した、全15編の絵手本集です。*1海外では、"Hokusai's Sketches"などと呼ばれているほど、認知されている作品です。その中に、以下で見ていくように様々な絵が収められています。
この北斎漫画という名前は、第1編の序文に北斎が「漫画」(漫(すず)ろに描いた画)と題を命名したことによるそうです。*2
北斎漫画は、1編当たり70頁弱なので、15編でもそこまで分量が多い訳ではありません。そして、2017年には、アメリカのボストン美術館で発見された、未刊行の部分が出版されたことが話題になりました。
- 作者: 葛飾北斎,セーラ・E.トンプソン,Sarah E. Thompson,小林忠,野間けい子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2017/09/27
- メディア: 大型本
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さて、そんな北斎漫画ですが、実は無料で読むことができます。国立国会図書館デジタルコレクション で、全編が公開されているんですね。国立国会図書館デジタルコレクション - 北斎漫画. 1編 このリンクをクリックするか、国立国会図書館のページで北斎漫画と検索してみてください。
お時間のある方は一度ご覧になってみてはどうでしょうか。
感想
以下では、北斎漫画のうち、自分が印象に残った絵について感想を書いていきたいと思います。
第1編
北斎漫画では、このように町人の様子から海産物に至るまで、様々な絵が収められています。その中でも、北斎独特のタッチがあるのが分かりますよね。例えば、町人の表情であるとか、タコの目がくりっとしているところとか。その一方で、貝やエビみたいに写実的なものもあります。
第2編
このページには、色々な動物の絵が収められています。特に、左下の猫の絵なんか、可愛いですよね。これらの絵のうち1つを作って、小物を作れそうなくらい、優れたデザインの数々です。
また、このページには様々な種類の模様が書いてあります。本当に、何でも色々書いているんですよね。
第4編
次は1つ飛ばして第4編です。ここには十二支が描かれています。シンプルなラインだけで書かれてる動物もいますが、それでもかっこいいんですよね。特に、右下のウサギが好みです。まるっこくて、可愛さとかっこよさが同居している感じが。
第6編
また1つ飛ばしまして第6編です。北斎漫画は、絵の手本ということなので、このように色々なポーズをとっている絵の数もあります。ちなみに、こんな感じの槍のポーズは、8頁に渡って掲載されていました。
第12編
だいぶ飛ばしまして12編です。左のタコもなかなかにインパクトがありますが、それよりも気になったのが右の頁です。初めて見た時笑いました。あまりのインパクトに。こういう変顔の絵って、根拠なしに新しい表現かと思ってましたが、北斎はとっくの昔にやっていたんですね。
第14編
第14編からは、まず猫と狼の絵です。さっき出てきた猫の絵は可愛かったのに、とたんにまがまがしくなりましたね。この猫。完全に目が化け物のそれです。
それに対して、左の狼はなぜだか分かりませんが、ユーモラスな感じがします。目が可愛いからでしょうか?世間一般のイメージとは真逆な書き方ですね。どちらも。
猫ときたら犬だろう、ということで、今度は犬の絵です。1枚目の左が唐犬、2枚目が犬となっております。唐犬は、困った感じの目つきをしていて、全体としてなよなよしていてユーモラスだなと思いました。
これに対して犬は……なんか怖いですね。悪者に対して吠えかかってるシーンなんでしょうかね、これ。 そして、次に紹介するのが山中ノ橋です。北斎漫画には、色々な風景画が載っていますが、その中でもお気に入りはこの一枚でした。山を貫く橋の美しさと、月の儚さが、非常に印象に残った一枚でした。構図も素敵です。
第15編
最後に紹介するのは、最終編の15編の最後の一枚、桃太郎です。桃太郎が鬼をやっつけている、力強いシーンです。本当に、北斎は何を書いても素晴らしいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回紹介したのは、北斎漫画のごくごく一部です。ぜひ、一度自分で全部ご覧になってみてください。その多彩さに、きっと驚かれると思います。
北斎漫画は、国立国会図書館デジタルコレクション - 北斎漫画. 1編で公開されています。また、見やすい方が良いというのであれば、書籍版もあるみたいですので、こちらもどうぞ。
- 作者: 永田生慈
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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*1:新発見! 北斎真筆 江戸で出版されるはずだった『北斎漫画』。200年の時を超え、ついに日本で出版!|河出書房新社のプレスリリース
*2:浅野秀剛監修「北斎決定版」164頁。この本は、北斎の書いた絵が300点ほど掲載されています。