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映画「シン・ウルトラマン」感想:ウルトラマンシリーズ未視聴者の感想

作品情報

監督:樋口真嗣さん

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

初めに断っておくと、私はウルトラマンシリーズをほぼ見たことがない人間である。なぜかは覚えていないものの、小さい頃にウルトラマンシリーズを覚えた記憶はなく、私の人生とウルトラマンシリーズが交錯したことはほとんどなかった(空想科学読本でウルトラマンシリーズについて読んだことがあるくらいであった。)。しかしながら、庵野監督の作品、特にシン・ゴジラが非常に面白かったことから、今回ふと思い立って「シン・ウルトラマン」を見てみることにした次第である。

映画を見た率直な感想としては、「面白かった、しかしシン・ゴジラほどではない。」というものだった。おそらく、私のような前提知識がほとんどない視聴者の一部は、そんな感想を抱いたのではないかと思う。映画自体の質が低かったというつもりは全くない。ただ、(当たり前だが)ウルトラマンシリーズの愛好者ではない私にとっては、not for meな作品だったように思う。

物語の入りは、震えた。シン・ゴジラを思わせるかのような情報の奔流。山のごとき大きさの「禍威獣」に対し勝負を挑む人類、そして敗北。そこで現れたのがウルトラマン。単なる立ち姿だけでもカッコ良くて圧倒されたし、禍威獣と取っ組み合うシーンも迫力があってテンションが上がった。

また、役者陣の演技も素晴らしかった。特に神永新二を演じる斎藤工さんは最高で、その立ち振る舞いだけでただの人類とは違う異質さが抜群に表現されていた。また、メフィラス役の山本耕史も、穏やかな胡散臭さを醸し出しており、何もCGが使われていないにも関わらず、斎藤工さんとの会話は異星人味が溢れ出ていた。居酒屋のシーンは、本作の中でもお気に入りの一幕である。

また、構図も庵野監督らしいユニークなものが多用されており、見た目の新しさが現れていて非常に良かった(こういった変わった構図が好きなのだ。)。色々な場所にカメラを置くことでユニークな構図を作り出しており、(若干画質は犠牲になっていたものの)新鮮だった。

ただ、私はあまりこの映画にハマれなかった。それは、本作のストーリーにあったのだと思う。

ストーリーが悪かったというつもりは毛頭ない。観賞後にネットで情報を収集した限り、過去作のシナリオが上手に組み合わさっていたらしく、歴年のファンたちが大喜びしている姿が随所で確認された。ファンにとってはたまらない出来だったのだろう。

しかしながら、ウルトラマンシリーズに思い入れのない私からすると、少しストーリーがブツぎれであったように思ってしまった。Aという禍威獣が出て倒される→Bという禍威獣が出て倒される→Cという禍威獣が出て倒される。一本の大きなストーリーがあるというよりもむしろ、テレビ番組の1話1話でストーリーが区切られているような感覚。悪の親玉的な存在がいるという訳ではなく、その時々に出てきた禍威獣を倒していったらいつの間にかストーリーが終わったというような印象が拭えなかった。もちろん、ウルトラマンの人類への理解と愛情という大きなストーリーが常に進行していたということは認識しているものの、そのように思わずにはいられなかった。

また、最後のゼットンとの戦いも拍子抜けした。ウルトラマンだけでは倒せないゼットンをどのようにして打ち負かすのか。あんなに大きな相手をどうやって滅ぼすのか。ラストに向かって非常に期待が高まっていたところ、結局は滝がVRで何かをしていたら、いつの間にか攻略法が決まって、しかしそれはただの体当たりにも見えるような何かだったという結論に、肩透かしをくらってしまった。戦いの途中、昔のウルトラマンの登場シーンと思われるオマージュに、「おおっ!」とテンションが上がったものの、あっさりとゼットンがやられてしまってなんだかなーという感じがした(シン・ゴジラ的な何かを期待しすぎたせいもあるのだろう。)。

また、長澤まさみさんの匂いをかぐ等の謎のシーンがあったり、そういうフェチ的な何かを期待してこの映画を見に来た訳じゃないのにな。。。と思ったりした。

最終的な感想としては、本作はファンにとっては素敵な映画だったのだろうと思うが、ウルトラマンシリーズに思い入れのない私からすると本作は面白いと同時に物足りない部分があった作品だった。ただ、ウルトラマンシリーズ未視聴者がなんとなく見ても面白い作品ではあったので、製作陣の力量がすごいなと感心した次第である。

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