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上原ひろみ「Hiromi's Sonicwonder」@東京国際フォーラムの感想

ツアー情報

開催日:2023/12/8 18:30-
場所:東京国際フォーラム 出演者:Hiromi's Sonicwonder

感想

今夜もまた、とんでもないものを耳にしてしまった、そんな印象を抱いたライブでした。

1年ぶりの東京国際フォーラムでの上原ひろみさんのライブ。今回のアルバム、「Sonicwonderland」を初めて聴いた時から本当に楽しみにしていたライブでした。その時には、「こんな演奏が人間に可能なのか、なんてタイトなリズムが心地よいアルバムなんだろうか」と思っていましたが、実際にアルバムのレコーディング越えの曲の数々を生で聴かされると、呆然として思わず息がこぼれてしまうほどでした。体はノリノリで動き出しますし、頭は技術力の高さで満足感で一杯で、幸せだなあという気分で一杯でした。

今回は、上原ひろみさんの演奏がいつもながら抜群で、とてもよかったです。鍵盤から生み出される、リズム、音色、楽しさ。にぎやかで情熱的な演奏が続いたかと思えば、途端に繊細で柔らかな音が紡ぎだされる。いつものインストゥルメンタルな感じではなく、Hiromi's Sonicbloomを思い起こさせるシンセサイザー。最近Hiromi's Sonicbloomのアルバムを聴いていたので、上原ひろみさんのシンセサイザーの表現力の圧倒的な向上をより一層感じられてよかったです。シンセの音色の選び方もより上手になっている気がしました。ソロも個人的には4人の中で一番良かったです。才能と努力の塊みたいなメンバーとバチバチのソロ対決を繰り広げつつ、それでも圧倒する実力。何度ライブに行っても色あせませんし、年々パワーアップしている気がします。Spectrumの時よりも、今のほうがピアノ(とシンセサイザー)の表現力が、ひとまわり良くなっているような気がしました(特に、曲の中で様々なタッチの音を混ぜ込む部分など。)。また、ゴー・ゴーの宇宙猫になった状態を地球に戻してくれたあたりとかも、さすがだなという感じでした。

次に印象に残ったのがジーン・コイさん。足技を駆使した圧巻のドラムソロが凄かったですし、全体的なリズム感が飛びぬけているように感じました。どんなに細かなリズムで叩いても、均一なドラミングでどっしりと響く。また、他の人のソロの最中当でも、細かく面白いリズムを紛れ込ませてくるあたりがとても聞いていて楽しかったです。一音一音に安心感があり、この人がいるからこんな複雑な曲をできるのかと納得でした。

アドリアン・フェローさんとジーン・コイさんの組み合わせは、少し恐怖心を感じるレベルでの上手さでしたね。なんというか、ぴったりと合い過ぎていてその完成度の高さに身震いがするというか。Sonicwonder以前でも二人は一緒に演奏することがあったらしく、さすがの組み合わせという感じでした。また、アドリアン・フェローさんの茶目っ気のあるソロや、メロディラインを引いている際の技巧の数々など、耳が幸せでした。

トランペットのアダム・オファリルさんは、1曲目の最初のワンフレーズ目で引き込まれました。トランペットって、こんなに朗らかな音が出るんだと驚きでした。また、今回の超絶技巧驚天動地の曲を良くトランペットで吹けるなというのも驚きでした。前門の上原ひろみさん、後門の抜群なリズム隊に挟まれて、トランペットを吹くというのはプレッシャーが凄そうです。なお、楽器的にしょうがない部分はあるように思われますが、他の3人に比べると若干リズムについていけていない感じがちょこちょこでていたのが少しだけ残念でした。

いずれにしても、今夜はえらいもんを見たなという形で、非常に充実感のある夜でした。よりリズムがパワーアップしてより一層究極体に近づいたXYZも生で聞けましたし、Sonicwonderlandのわくわくとした冒険に浸ることができてとても良かったです。ゴー・ゴーでは宇宙猫になった気分になれましたし。次回は、どんな楽器とともにどんな冒険を繰り広げてくれるのか。上原ひろみさんの活躍に目(と耳)が離せません。