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小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」感想

作品情報

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)


※以下は本作のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本書について、もっと頭の良さそうな感想を書こうと思っていた。当初は。

 天冥の標シリーズを読み終わって、もうこんな素敵な作品を読むことはできないのだと少し悲しくなった昨年。とりあえず他の作品を読んでみるかということで群青神殿を読んでみるも少し物足りない。まあ小川一水先生の初期の作品だししょうがないかと思いつつ、それからしばらく色々な分野の本を読み、小川一水さんの新刊が出るということですぐに買って、最初から最後までぶっ通しで読んだ。読んだ後で思った一言「最高かよ」確かに天冥の標シリーズのような重厚さはないものの、こちらにはそれとは違う軽快さがある。ソフィスティケイテッドなフランス料理も美味しいけれど、マグロの刺身だって美味しい。みんな違ってみんなうまい。そんな感じ。

 いやーもう主人公二人の関係性が良いよねと。ちょっと大人なテラと厨二っぽいダイオード。DIE OVERDOSEって何だそれってこっちも共感性羞恥全開になるわって感じでかわいいDIE OD。そして、おしとやかな感じで大人な感じも出しつつちょいちょいダイオードをなだめすかしているテラも尊い。いちゃいちゃしてるのも可愛げがあって良い。とりあえず、この二人の物語がもっと読みたくなるなって感じの、何も考えずに本作の世界に没頭したくなるなって感じの魅力に満ちている。あと、宇宙×漁ってのもロマンを感じた。宙を翔ける大魚をどでかい宇宙船で捕まえにいく。その設定だけで白飯三杯位いけるって感じですよ。宇宙漁。もっと書いてくれないかなあ。妙に僕の心にヒットしました。宇宙版老人と海みたいなのあったら、それはそれで読んでみたい。それでイコライザー でのクロエ・グレース・モレッツみたいな人に"He catch that fish yet?"とか聞かれてみたい。

 それはさておき、やたらと百合百合連呼される本作。アマゾンのレビューでも、百合作品ということがフィーチャーされている感想があったりして、それはそれで良いのだけれど、もっと違う読み方もできるなと思った今日この頃。結局、これは百合百合以前にテラが自分自身と向き合って、自分自身の嗜好を素直に認めて大人になれたという、そういう物語であるようにも感じた。小川一水先生にとって、異性愛と同性愛、どちらが上でどちらが下などというものでないことは、天冥の標シリーズからも明らかだったし、今回の物語ではたまたまテラが女の子を好きだったという物語だっただけな気がする。

 まあ、そんな小難しいことはおいといて、僕が言いたいのは、本作は最高だったよということです。

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