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映画「鍵泥棒のメソッド」感想:Love and Life

作品情報

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、役者陣の軽妙な演技が光る愉快なコメディでした。ストーリーも伏線を回収しつつも予想できない方向に転がって行ったのが良かったですね。

役者陣の演技

 本作の主役の堺雅人さん、香川照之さんの演技はいつも通り素晴らしかったです。

 努力できない、グータラな生活をしている売れない役者である桜井を演じる堺雅人さん。髪はボサボサ、覇気はゼロ。胡散臭さだけは満点。今まで抱いていた堺雅人さんのイメージとは真逆の役柄で、最初の自殺に失敗したシーンから、人生に詰んだ売れない役者のオーラがばんばん出ていましたね。映画を見ながら、おいおい、もっとまともに生活しろよと突っ込みたくなるほどに。そんな堺雅人さんの演技だからこそ、殺し屋?の物を盗んでなり変わってしまうことになるという、荒唐無稽の物語でも説得力が出ていました。

 山崎を演じる香川照之さんの演技は、記憶喪失前と後のギャップが最高でしたね。殺し屋?としての香川照之さんは、表情が冷たく、厳しさと恐ろしさを感じます。それに対して、記憶喪失後の演技の毒気のなさといったら!ただの良い人にしか見えません。それでも、記憶喪失前と後で、神経質であるなど同一の人格だなと感じさせる演技が流石でした。

 本作の演技で一番好きだったのは、香苗を演じる広末涼子さんの演技です。本作の登場人物の中で、一番行動基準が謎な女性。よく言えばミステリアス、悪く言えばただの変人。お父さんのためとは言え、結婚に向けての行動が強引すぎて不可解ですよね。それでも、おずおずとした話し方や動作、不自然な表情などの雰囲気から、こんな人がいてもおかしくないなと思わせられました。本来ならばありえないことを演じているはずなのに、見れば見るほど違和感がなくなっていく、素敵な演技でしたね。

本作のストーリー

 ところで、本作のストーリーのコアとなっていたのは、愛と人生だなと思いました。お父さんへの家族愛から、香苗は結婚しようと考え、動き出します。その行動力は、出会うはずのない記憶喪失の殺し屋?との出会いに結びつき、香苗と山崎の人生を大きく変えて行きます。そして気づく、愛。ここまで極端な行動ではなくとも、少し積極的に動いてみたいなと思わせるような、元気が出てくるお話でしたね。ただ、最後に香苗と山崎の出会うシーンのいちゃつき具合を見て、滑稽だと思うと同時にカベを叩きたくなりました。

 また、失恋のために死のうとした桜井にも、最後に良い出会いがあって、誰の人生捨てたもんじゃないんだ、捨てる神があれば拾う神がいるんだと思わせてくれましたね。最後の近所の人が家にやってきてアラームが鳴るシーンが、おかしくて、笑えて、素敵な終わり方でした。