作品情報
監督:佐藤信介
評価
☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)
※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。
ネタバレ感想
私は原作を読んだことのない人間だが、本作はすごく面白かった。何より、主人公の信役の山﨑賢人さんの演技が良かった。直情的でまさに脳筋とまで言いたくなるキャラクターを、山崎さんは凄く良く演じていたと思う。ひたすら叫び、叫び、叫び。そこに一抹のためらいや恥ずかしさでも残っていれば、本作はただの駄作になっていただろう。しかしながら、山崎さんの振り切れた演技は、信のある種漫画チックなキャラクターを自然な物とし、本作を勢いよく進めていっていた。また、楊端和役の長澤まさみさんも素敵だった。他の作品とのギャップが凄く、普段の作品と比べて異色の存在感を放ち続けており、当初は誰か認識できないほどだった。
そんな中で本作で一番好きな演技は、左慈役の坂口拓さんの演技である。もはや演技とも思えないような怒りのシーンなど、画面越しでも少しビビってしまうくらいだった。このような豪華な俳優陣が綺羅星のごとく集まっている本作は、見ていてとても満足感があった。
また、心に残る演出がいくつもあった。一番良かったなと思うのは、信が政らと共に洞窟を抜けていくシーンである。漂が死んで落ち込んでいた心情を、洞窟の暗さで表すと共に、その暗さから信を連れ出し導いていく存在としての政を暗示している。しかしながら、白眉だなと思ったのは導かれた信が今度は政の前に出て道を進んでいくシーンである。ここが、信が単に導かれるだけの存在ではなく、信と政がお互いにお互いを導きながら、対等に歩んでいく将来を暗示していて綺麗だなと思った。
テンポよく進んでいくストーリーも良かった。首都奪還まで何作かかるのかとハラハラしつつ見ていたところ、政の合理的な策略によりサクサクと攻略が進んでいく。漫画チックなアクションを取り混ぜながら、本作をエンターテイメント大作へと導いていた。
早く続きが気になる作品だった。そして、真剣に原作が欲しくなる一作でもあった。