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「ミッドサマー」感想:見て後悔した作品

作品情報

ミッドサマー 通常版 [Blu-ray]

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  • フローレンス・ピュー
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監督:アリ・アスター

評価

☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 実を言えば、この映画を見たのは1ヶ月以上も前である。であるにもかかわらず、本作を見たことを未だに後悔しているし、ミッドサマーの画像を見るたびに、嫌悪の感情が僕の心の中を這い上ってくる。

 映画を視聴したことを、このような長期間後悔するような映画は他になかった。単につまらない映画であれば、せいぜいその翌日くらいまでは、「なぜこの映画を見たのだろう、他に時間を使えたじゃないか」と思うものの、その後はすぐに忘れてしまう。例えばスターウォーズ・エピソード7を映画館で観たときは、あまりにエピソード4の焼き直しすぎてつまらなかったため、一緒に見た友達と微妙な空気の中帰りながら「それでも一緒に映画を観にいけたこと自体は良かったと思う」と謎のフォローをされて観た後悔が強まったり、スターウォーズ・エピソード8を映画館で観たときはあまりに旧作の扱いが酷すぎてもう二度とディズニーの作るスターウォーズの新作は見るもんかと思ったり、スターウォーズ・エピソード9を映画館で観たときはなぜ燦々と輝くエピソード1〜6の後にエピソード7〜9を作ったのか、そしてなぜ僕はエピソード7〜9を全て見てしまったのかと後悔したものだが、そんな気持ちは映画を観た翌日にはすぐに忘れてしまった。結局、映画を見るために使う時間は、高々数時間である。無駄にしたところで、人生にさしたる影響はないし、そもそも常日頃から僕は人生を無駄にしている(そして一部の鉄人を除く大体の人もそうだろう。)。

 しかし、ミッドサマーは違った。具体的なシーンが思い浮かぶわけでは無いものの、ミッドサマー的な画像を見るたびに即座にこみ上げる恐怖感、気持ち悪さ。そのあとで眼前に現れる残酷に処刑された登場人物。生理的に受け付けない村の風習、エトセトラエトセトラ。単に数時間を使っただけにとどまらず、ミッドサマー的な気持ち悪さが僕の脳内にこびりついてしまったようだ。映画の一から十まで気持ち悪い。映像がグロテスクなだけではない。理解できない、頭が理解を拒絶する、受け入れたく無い、受け入れたら自分の何かが損なわれてしまう、人格をねじ曲げられそうな感覚。そんな合理的な説明のつかない感情が、ミッドサマー的な何かを見るたびに僕の中から溢れ出す。

 ここまでの感情を刻み付けるような映画を撮ったこと自体は、敬服に値するものだろう。また、ホラーと分かりながら見た自分がそもそも悪いのだから、作品自体を責めるつもりは毛頭無い。ただ、僕の脳の裏側に刻み込まれたミッドサマー的な何かが、ミッドサマーを見て後悔したのだと、僕を全世界に向けて叫ばせ続けるのである。