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「オーシャンズ8」感想:分かりやすいストーリーの華美な作品

作品情報

監督:ゲイリー・ロス

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、一言で表現するなら分かりやすいストーリーの華美な映画だったと感じました。アン・ハサウェイなどの魅力溢れる役者陣。思わずはっと息を呑むような豪華な衣装・装飾品の数々。セリーナ・ウィリアムズといった世界的に有名な人々もカメオ出演しています。見ているだけでも気分が高揚するような映画でしたね。

 そんな本作において、一番の魅力的だと思ったのがデビー役のサンドラ・ブロックの演技でした。立っているだけでも抑えきれない存在感。一流の役者にしか出せない計り知れない引力が感じられました。もう、ただ会話しているだけでも十分格好良いんですよね。

 あと、リアーナが演じたナインボールも良い味を出していましたね。マニキュアを塗りながらカメラを監視するシーンなど、ヒッピーの演技がとても自然で、こんな感じのハッカー居そうだなって感じでした。

 さて、映画のストーリーについてみると、エンターテイメントど真ん中の作品だったと感じました。金を手に入れるために宝石を盗む。その過程で過去に嵌められた男を嵌めかえす。スカッとするような映画でしたね。

 特に、盗みの計画そのものが鮮やかで、見ていて気持ちよかったです。途中トラブルがあったのはネックレスが磁石で外れないような細工がなされていたことと、運び屋役のウェイターが立ち話をし始めたことくらいでしたし、それらはあっさり解決されましたし。さすがデビーが何度も何度もシミュレーションを重ねた結果だけありますね。

 ただ、その手口が鮮やか過ぎたせいで、ストーリー自体が平板な印象を受けてしまったのも事実です。例えば、ネックレスを守るためのボディーガードが優秀な人物であるという伏線がありましたが、彼らは大した障害になりませんでした。それ以外にはデビーたちを窮地に立たせるような人物はおらず、デビーたちが計画に沿ってただ淡々と盗みを成功させた感じでしたね。結果、エキサイティングだと感じたシーンはそこまでなく、だいたい予想通りの展開でした。

 とはいえ、本作で意外な展開だと感じたシーンも2つありました。1つは、ダフネが仲間になるシーン。人数を特に数えていなかったので、ダフネが仲間になるまで犯行に7人しか携わっていなかったことに気づかず、ダフネが8人目だということが分かって驚きました。ただ、ダフネが仲間になった動機が、友達が欲しいということでしたが、いまいち動機としては弱いなという印象を受けました。ダフネが映画撮影のための資金を求めていたというような伏線があれば、話は違ったのですが。もう1つは、デビーたちが標的のネックレス以外の装飾品も盗んだことが分かったシーン。これについても伏線が貼られておらず、少し消化不良な感じがしました。

 本作は、映像面は見ているだけで楽しかったです。全てが豪華な作品でしたから。ただ、ストーリーについては、もう少し丁寧に伏線を張って欲しかったですね。