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映画「レミニセンス」感想:扱いが酷い。

作品情報

監督:リサ・ジョイ

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

初見時の感想

本作、SF的な要素が中心なのかと思っていましたが、意外とそういうことはなくラブロマンスが中心な作品でしたね。ラミン・ジャヴァディさんの劇中の音楽がとても素晴らしく、全体的に夜に朧げな月を眺めているかのような切なさが漂っておりました。

本作では、一部水没してしまったマイアミの情景が美しかったです。水没した都市郡は、埋もれてしまっている記憶というものを象徴的に表しているように思いました。色々な人との記憶や思い出が、水の中に取り残されているというような印象を受けます。そして、水の中から何かを取り出すという行為は、記憶を掘り起こすという行為とリンクしているように思います。例えば、装置によって記憶を再現する場合にも水は登場しますし、メイのピアスは水たまりの中にありました。また、ニックがメイとの記憶を取り戻したのも、水没した劇場に潜ってサイラス・ブースを水の中から拾い上げてからでした。このように、水と記憶というのは、本作に置いて密接な関係を有しているように思います。

さて、本作のストーリーに目を向けると、回想というレミニセンスの意味がそのままに、記憶というものが非常に重要な作品でした。こういう種類のストーリーでは、過去に耽溺するのは悪で未来に目を向けることが善なのだという話になりがちかと思います。しかし、本作の終盤では、過去に浸り続けているニックをそのまま肯定しているのが印象的でした。ワッツは最後にこう語ります。

昔、私たちは結末を選んだ
彼は過去へ
私は未来へ
どちらも正しかったと思いたい

このように、過去に囚われるニックの姿が肯定的に捉えられるというのが、本作の物語の面白いところであり、哀しいところでもあるように思います。

本作において、ニックは初めてメイに会ったときに、以下のように独白しています。

忘れられれない瞬間が訪れる時があることがある
彼女を見たときが、それだ

これは、ニックがメイをみた瞬間に運命の人とであったと確信するかのようなセリフです。このような出会いに導かれるように、ニックはメイのことを熱心に追い求めます。その出会いは初めから作り上げられていた虚構であったにも関わらず、二人は真の愛に目覚め、メイの死に気づいたニックは悲しみのあまりに、現実世界を拒絶してでも幸せな二人の物語に籠っていくのです。自分が亡霊であることを認識しつつも。

何とも切なく、哀しい物語であると感じました。また、すぐそばにいる人をもっと大事にしようと思わせてくれるような作品でした。

人間の記憶について

ところで、日々我々が実感しているように、人間の記憶は本作のように完璧で再生できるものではありません。昔、何かの本で、記憶の書き込み・読み出しは完璧なものではなく、読み出す度に修正されてしまうものだと読んだことがありました。

記憶をテーマにする本作だからこそ、本作の感想記事も少し時間をおいて、記憶に基づいて続きを書いてみたいと思います。しばらく時間をおいて書いたのが、ここから下の部分の感想になります。

本作を思い返してみての感想

自分の記憶に基づいて、改めて本作を思い返してみると、本作の物語はかなりモヤっとする作品だったと思います。視聴直後は、映像や音楽等の雰囲気に飲まれて良い話だなーと思っていたように思いますが、改めて本作を思い返してみるとワッツの扱いが酷過ぎやしないかと思いました。

本作の物語をワッツ視点で眺めてみると、軍を退役後、長年側で支えてきたニックが、ぽっと出の色っぽい女性に誘惑されて、ろくに働くこともせずに過去中毒となります。挙句の果てにはニューオリンズでマフィアといきなりドンぱちを始め死にそうになります。そこを命がけで何とか救ったものの、ニックはワッツに対し、大して感謝するわけでもなく、むしろ前を向いて生きろと突き放します(前を向いて生きろってどっちのセリフだ感ありますよね。)。その後、また一人でほっつき歩いていたのかと思いきや、久しぶりに再会したらいきなり重罪を犯したと告白します。その際、また会える的なことを言っていたにもかかわらず、過去に溺れたまま帰らぬ人となりました。

ニックが継続してレミニセンスをするためには、(もうすでに旧式となってしまった)機械を維持し、部屋の家賃や機械の維持費を支払い、加えてニックが死なないよう栄養を補給したり衛生面を整えたりするなどのお世話をする必要があると考えられます。ワッツがニックの姿を見つめるラストシーンを見るに、もう現実世界に戻ってこないニックの世話を、ニックは結果的にワッツに押し付けていく形になったのではないかと思います。

改めて文字にして振り返ってみると酷いですね。長年一緒にいたワッツに対して恋愛感情を抱かない点について何か言いたいわけではありません(好み等もあるでしょうし。)。また、過去に愛した女性をひたすらに思い返しながら人生を送るという点も悪いわけではないでしょう(ある意味美しい愛の形とも言えそうです。)。しかし、自分のことは自分自身で何とかしながら過去を振り返る日々を送るのではなく、自分自身の世話すら放り投げて、最後の最後に他人に迷惑をかけていくというのはよろしくないなと思います。ワッツに自分が過去に縋るための世話を押し付けていくニックの姿は、まさにダメ男という感じがしました。

改めて思い返してみると、ワッツの扱いが酷く、そういう意味で後味の悪い作品だなと思いました。

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